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収録曲とレビュー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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発売フォーマット 【アルバム】 |
フォーマット | 日本盤 | US盤 | UK盤 |
アルバム (通常盤) |
9月7日発売(日本先行発売) |
9月13日発売 |
9月12日発売 |
アルバム (DVD付き限定盤) |
9月22日発売 |
9月13日発売 |
9月12日発売 |
アルバム (LP盤) |
(未定) | (未定) |
10月3日発売 フォーマット:LP Record ASIN:? |
ボーナスDVD |
フォーマット | NTSC(日本盤、US盤) PAL(UK盤) |
リージョン | フリー |
オーディオ | 60分 - LPCM Stereo (50分) - DTS 5.1 Surround Sound, Dolby Digital 5.1 Surround Sound (5分、'Fine Line'のみ) |
メニュー |
'How
Kind of You'のアニメーション(5分) 'Fine Line' - オプションメニュー サブタイトル - なし |
内容 |
合計50分
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ファースト・シングル 「Fine Line」 | ||||||||||||||||||||
:front
:back 試聴!
Mixed: Ocean Way Recording, LA. |
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発売フォーマット 【ファースト・シングル 「Fine Line」】 |
フォーマット | 日本盤 | US盤 | UK盤 |
ニューシングル 「Fine Line」(通常盤) (C/W) Comfort In Love |
(未定) |
8月29日発売 |
8月29日発売 |
ニューシングル 「Fine Line」(CCCD盤) (C/W) Comfort In Love Growing Up Fallin Down |
9月7日発売 |
(未定) |
8月29日発売 |
7"シングル 「Fine Line」 (C/W) Growing Up Fallin Down |
(未定) |
(未定) |
8月29日発売
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セカンド・シングル 「Jenny Wren」 | |||||||||||||||||||||||||
:front | |||||||||||||||||||||||||
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発売フォーマット 【ファースト・シングル 「Fine Line」】 |
フォーマット | 日本盤 | US盤 | UK盤 |
「Jenny Wren」 (マキシシングル) (C/W) I Want You To Fly This Loving Game Summer Of 59 |
(未定) |
(未定) |
11月21日発売 |
関連サイト |
サイト | URL | |
http://www.paulmccartney.com/chaoscreation/index.php | ポール・マッカートニー公式サイト。アルバム情報、シングルの情報。 現在、「Fine Line」「Jenny Wren」「Promise To You Girl」3曲の試聴と、「Fine Line」プロモーション・ビデオが試写できます。 また、アルバムのスクリーン・セイバー、バナーのダウンロードが出来ます。 |
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http://www.7digital.com/shops/listing.aspx?shop=102 | 上記公式サイトと連携した英国内のダウンロード・サイト。CDでは入手不可能な「Fine Line」のRadio Editの購入ができます。(日本国内では試聴のみ対応) | |
AOL MUSIC | http://music.aol.com/artist/main.adp?tab=album&albumid=787157 | アメリカのダウンロードサイト。ファースト・シングル「Fine Line」の試聴と、アルバム全曲のiTuneでの購入が可能。 |
http://www.q1043.com/cc-common/sneakpeek/mccartney/indexpreview.html http://www.kkrw.com/cc-common/sneakpeek/mccartney/indexpreview.html |
海外の試聴サイト。アルバム全曲の試聴ができます。 | |
http://www.toshiba-emi.co.jp/intl/special/0509paul/ | 日本盤の発売元である東芝EMIの公式サイト内のニューアルバム特集ページ。 ポールの公式サイト同様、「Fine Line」プロモビデオの試写、「Fine Line」スクリーンセイバーのダウンロード、アルバム全曲の試聴など。 オフィシャルグッズのプレゼントもあります。 |
歌詞・コード |
曲名 | |
FINE
LINE
written by (c)2005 MPL Communications LTD. |
There
is a fine line Between recklessness and courage It's about time You understood which road to take It's a fine line And your decision makes a difference Get it wrong you'll be making a big mistake Come home brother all is forgiven Whatever's more important to you There is a long way Come home brother all is forgiven Come on back, Come on back, Come on back to me It's a fine line, It's a fine line Whatever's more important to you It's a fine line |
HOW
KIND OF YOU
written by (c)2005 MPL Communications LTD. |
How
kind of you to think of me when I was out of sorts it really meant alot to be in someone else's thoughts someone else's mind someone else as kind, as you. The thoughtfulness you showed has made I thought that all was lost I thought my faith had gone How kind of you to stick with me I thought my time was up I thought my faith had gone How kind of you to think of me |
JENNY
WREN
written by (c)2005 MPL Communications LTD. |
Like
so many girls Jenny Wren could sing But a broken heart Took her song away Like the other girls How we spend our days She saw poverty But the day will come Then we'll spend our days |
FRIENDS
TO GO
written by (c)2005 MPL Communications LTD.
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I've
been waiting on the other side For your friends to leave so I don't have to hide I'd prefer they didn't know So I've been waiting on the other side For your friends to go I've been sliding down a slippy slope You never need to worry about me I've been waiting till the danger passed So tell me what I want to know Someone else can worry about me I've been waiting on the other side I've been waiting on the other side |
ENGLISH
TEA
written by (c)2005 MPL Communications LTD. |
Would you care to sit with me ? For a cup of English tea ? Very twea, very neigh Every sunny morning What a pleasure it would be Chatting so delightfully Nanny bakes, fairy cakes Every Sunday morning Miles and miles of English garden Stretching paths the willow tree Lines of hollyhocks and roses Listen most attentively Do you know the game Paraventure we might play Very gay, hip huray Every Sunday Morning Miles and miles of English garden Stretching past the willow tree Lines of hollyhocks and roses Listen most attentively As a rule the church bells chime When it's almost supper time Nanny bakes, fairy cakes On a Sunday Morning |
TOO
MUCH RAIN
written by (c)2005 MPL Communications LTD. |
Laugh
when your eyes are burning smile when your heart is filled with pain sigh as you brush away your sorrows make a vow that it's not gonna happen again it's not right in one life too much rain. You know the wheels keep turning It's too much for anyone Smile when you're spinning round and round It's too much for anyone |
A
CERTAIN SOFTNESS
written by (c)2005 MPL Communications LTD. |
A
certain softness in her eyes Fascinates me More than I ever thought it would a certain softness More than I ever thought it could A certain softness in her eyes Got me hooked, got me hooked A kind of sadness in her smile If I could even find the words to tell her A touch of wildness in her style A certain softness in her eyes |
RIDING
TO VANITY FAIR
written by (c)2005 MPL Communications LTD. |
I
bit my tongue I never talked too much I tried to be so strong I did my best I used the gentle touch I've done it for so long You put me down I tell you what I'm going to do You're not aware I'll tell you what I'm going to do The definition of friendship There was a time That's the trouble with friendship While you were riding to Vanity Fair |
FOLLOW
ME
written by (c)2005 MPL Communications LTD. |
You
lift up my spirits, you shine on my soul Whenever I'm empty, you make me feel whole I can rely on you, to guide me through, any situation You hold up a sign that reads, follow me. You give me direction, you show me the way Down the track of loneliness, down the path of love You lead to places, that I've never been |
PROMISE
TO YOU GIRL
written by (c)2005 MPL Communications LTD.
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Looking
through the backyard of my life Time to sweep the fallen leaves away Like the sun that rises every day I gave my promise to you girl Hey why wait another day Every single second of our lives Well there's no more barking up a tree Looking through the backyard of my life |
THIS
NEVER HAPPENED BEFORE
written by (c)2005 MPL Communications LTD. |
I'm
very sure This never happened to me before I met you and now I'm sure This never happened before Now I see This is the way it should be for lovers So come to me This is the way it should be for lovers I'm very sure |
ANYWAY
written by (c)2005 MPL Communications LTD. |
If
you love me, won't you call me I've been waiting, waiting too long In my soul is constant yearning Always singing, singing this song Only love is strong enough Anyway, anyway If we could be, closer longer If a love is strong enough, it may never end Anyway, anyway Anyway, anyway |
アルバム寸評 |
情報源 | |
ポール・マッカートニー・インタビュー | ――またニュー・アルバムが完成しましたね。これほど長い間活動を続けてきたあなたでも、いまだに新しいアルバムをリリースするとなると、ワクワクされたりするのですか?
ポール・マッカートニー(Vo/以下、ポール):リリースは僕の好きなことではないんだ。自分の赤ちゃんを手放すようなものだからね。作っているとき、つまり、あの創造的なプロセスは最高だ。リリースするとなると、少し大変になる。プロモーションしたり、あれやこれや考えなくてはならないからね。別にそういったことをやりたくて、アルバムを作るようになったわけではないし、自分の元から手放すわけだから。それに、必ずしも僕が同意できないような意見を言ってくる人もいる。先日も、「あの曲は、こういう内容ですよね?」と言われたんだが、僕は、「いや、そうじゃないんだ」と答えたよ。ああ、またいつものあれが始まったな、と思ったよ。でも、このアルバムは作っていて楽しかったし、リリースするというのも嬉しいことだ。みんなに聴いてもらえるんだからね。 ――これまで長年にわたりすばらしいポピュラー・ミュージックを作り続けてきたことで、自分の曲がどこからやってくるのかがより明白に感じられるようになったのでしょうか? 曲がどこからやってくるのかということを考えたりしますか? ポール:うーん、そうだね。いつもどこから生まれてくるんだろうと不思議に思うけれど、それを知りたいとは思わない。知らないでいるからこそ、魅力的なんだ。毎回、まずは何もないところで、腰を落ち着けて、ギターを手にして、その1、2時間後に突然曲ができて、上手くいけば、「あの曲は大好きだよ」と言ってもらえたりする。「これだ!」と感じるんだ。だから、僕にはどこから曲が湧いて出てくるのか全くわからない。僕の音楽に対する愛情から生まれてくる。それほど前のことでもないんだけど、キース・リチャーズと話をしていて、彼が、「なあ、俺たちはまず、音楽を聴くことから始まっていて、曲を書いたり、歌ったりするなんてことはしてなかったよな。俺たちがやってたことは、音楽を聴くってことだったんだよ」と言っていた。まさに彼の言う通りだと思う。それから音楽を演奏するようになって、歌うようになって、最終的には曲も書くようになったんだ。自分がすばらしいと思える音楽を聴くのが大好きだという感情から生まれてくるんだと思う。それが音楽の特別なところだ。僕は、「ゴッド・オンリー・ノーズ」を涙せずには聴いてはいられない。この曲は僕にとって、そういう曲のひとつなんだ。とにかく特別な曲で、歌詞やらコード展開、あの録音がそうさせるんだが、それは神秘的なことで、僕はそれが大好きなんだ。僕は、そういった意味で、自分のやっていることが本当に大好きで、「なんで今でもやっているんだい?」なんて言われることもある。「飽き飽きしないかい? うんざりしないのか?」なんてね。僕は、「そんなことはないよ」と答える。そうだったらいいのに、なんて思うこともあるけどね。そうすればホリデーに出られるからさ。でも、本当に好きでやっているからね。アメリカにツアーに出るのが楽しみで仕方ない。そうすることで、こういったこととは別に、アルバムに対するフィードバックをオーディエンスから得られるしね。とにかく、どうやって生まれてくるのか、その理由はわからないな。音楽を作るという行為には神秘的な要素があって、僕は、それはすばらしいことだと思っている。 ――『ケイオス・アンド・クリエイション・イン・ザ・バックヤード』のレコーディングはどこで行なわれたのでしょうか? ポール:基本的には、ナイジェル(プロデューサーのナイジェル・ゴドリッチ)のお気に入りのスタジオでレコーディングしたんだ。僕はサウンドの専門家ではなく、マイクの後ろに立っている人だから、彼の慣れている環境や、彼の満足できる環境で音が聴こえるということが重要だ。それで僕は、「で、どこでレコーディングしようか?」と彼に尋ねた。そしたら彼が、「ロンドンのいつものスタジオ、ラク(Rak)でやりたいんだ」と言うから、「それはいいね。僕もあそこでレコーディングしたことがあるよ。いいアイディアだ」と答えた。ロサンゼルスのオーシャン・ウェイ(Ocean Way)でもレコーディングしたよ。そこも彼のお気に入りのスタジオのひとつで、僕は一度も使ったことがなかったんだけど、彼が、「すばらしいスタジオで、僕はあそこのサウンドが大好きなんだ。あのスタジオだとマジックが起こるんだよ」と言うんで、「それだったら、そうしよう」と答えた。それと、このエアー・スタジオのエアー・リンドハーストでもやったよ。ここは僕も使ったことがあるスタジオなんだけど、このスタジオも彼のお気に入りだから使ったんだ。彼がサウンド・マンなんだから、僕はそれを尊重しているんだ。 ――実際レコーディングしている最中には、他のアーティストの音楽を聴かれたりするのですか? ポール:いつも音楽は聴いているよ。でもそれは、必ずしも自分の参考にするためではないけどね。参考になるものもあるよ。それは当たり前のことだよね。ニール・ヤングのようなアーティストを聴いていたとしたら、「アコースティックの曲をやりたいな」と思ったりするかもしれない。でも、それくらいのことだよ。カナダっぽい音楽にしたいとか、ニール・ヤングっぽい音楽にしたいとは思わないしね。漠然としたものだな。いろんな音楽を聴いているし、あまりにも幅広いから、それに影響されたアルバムを一枚作るということはあり得ないけどね。 ――ナイジェル・ゴドリッチのアルバム制作に対するアプローチは、あなたのアプローチとどのように違っていましたか? ポール:基本的には僕とあまり変わりなかったが、唯一違ったのは、基本的なことだった。ラクで2週間レコーディングを始めたとき、僕はスタジオに入って、「僕のライヴ・バンドと一緒にやりたいと思うんだ。彼らは僕の仲間だし、前回のツアー中には、早く新しい曲、次のアルバムを作りたい、という話を一緒にしていたからさ」と言ったんだ。そしたらナイジェルが、「実は、僕もそのことを考えましたけど、そういうあなたにとっての安全パイは避けた方がいいと思う。あなたにとって、それはまったく冒険のないことだ。彼らのことはよく知っているだろうし、あなたは自分が彼らと何をしているのかもよくわかっている。そういった安全地域から、あなたを連れ出そうと思うんです」と言ってきたんだ。それは、 例えば、僕よりももっと上手なドラマーのエイブがドラムを叩くのではなく、僕が自分でドラムを叩くということだった。でも、ナイジェルは英国的な感覚を欲していて、僕にはそういった感覚がある。僕はドラムが上手いわけではないけど、そういう感覚は持っている。僕にあるのは感覚なんだ。彼は言ったよ。「試してみたいんです。やってみましょう」とね。それでバンドと一緒に作った曲を1曲だけ試しにやってみたら、彼が、「僕が言っていたのはこのことですよ。これが僕の求めているものなんです」と言ってきたから、気まずいことではあったけれど、バンド・メンバーに「聞いてくれ。ナイジェルは俺たちが思っていた方向とは違うことをやりたがっていてさ。彼がプロデューサーだから、僕が、いや、自分のバンドとやらなければ、なんて言えないんだ」と言ったんだ。彼らはそれをクールに受け止めてくれたよ。「それでいいアルバムが作れるんだったら、構わないよ。僕たちもツアーには一緒に出て、アルバムの曲を演奏するからさ。いいアルバムになるんだったら、是非、そうしてくれ」と言ってくれたんだ。ナイジェルがもたらした大きな違いはそこで、バンドと一緒にやっていたらこうはならなかっただろう。実際、かなり違うものになった。このアルバムの雰囲気が違うものになったし、僕は少し不安になった。「じゃあ、君がここの部分をやってくれ」というわけにはいかず、「ああ、何てことだ、ドラムを叩かなくちゃならないなんて。ああ、自分ですべて考えないと」なんて具合だった。でも、彼がそうしたのは、正解だったと思う。 ――「ファイン・ライン」ですが、この曲のインスピレーションとなったものは? ポール:それはオープニングの行、“There’s a fine line between recklessness and courage”だった。たまに思い切ったことをする人がいる。「そうだ、そうこなくっちゃ」なんて思うんだが、それは愚かで無謀な行為であるときもある。でも、彼らは自分が勇気ある行動をしていると思っているんだ。そういった考えから始まった曲で、無謀になるのか、それとも、勇者でいるのか、そのどちらを選択するのか、というアイディアを基に歌詞を完成させていった。それでピアノの前に座って、あのノリノリのパートを作って、シンプルなものにして、 “Fine line, it’s a fine line”というフックを作った。それをロサンゼルスのスタジオに持ち込んで、続きに取りかかって、あの“Fine line”のリフ部分を考えていたんだ。そこの部分を演奏しているときに間違った音をベースで弾いたら、ナイジェルが「最高だ。それだよ」と言ったんで、僕が「いや、間違った音を演奏しちゃったんだ」と答えたんだ。それでも彼は「いや、確認してみてくれ。これを聴いてみて」と言い、僕が「なるほど、君の言っている意味がわかるよ」と言ったわけだ。自分の考えていたものとは違うものになった。本来はFシャープで考えていたんだが、Fでやって、かなり興味深いものとなったね。そんな風に歌詞と曲を完成させていった。 ――アルバム・タイトルのゆえんは? ポール:アルバムを作り終えると、いつでもタイトルをどうしようかと考えるんだけど、ビートルズのアルバム『アビイ・ロード』は、『エベレスト』というタイトルになるはずだったんだ。でも、突然それがいいアイディアには思えなくなって、『アビイ・ロード』に変えた。タイトルが決まると、気分がよくなる。それで僕は、アルバムを作り終わって、タイトルを探していた。「プロミス・トゥ・ユー・ガール」の中に、“Looking through the backyard of my life”という歌詞があって、“Backyard”はアルバムのタイトルにいいんじゃないかと思った。ナイジェルに電話して、「Backyardっていうのはどうだろう?」と言ったんだ。そしたら「いいけど、あまり面白くはないな。キャッチーだけど、面白くない。でも、どうしてそのタイトルなんだ? どういう意味があるんだ?」と言われて、「そうか」と思った。翌日、また彼に電話して『Looking In The Lyrics』はどうかと伝えた。「ファイン・ライン」の中に、“there’s a long way between chaos and creation”という行があって、それで「じゃあ、『Chaos And Creation』はどうかな?」と考えたんだが、少々重々しい感じがすると思った。『Chaos And Creation』なんて、伝道の書みたいだ。ちょっと気取った感じがした。それで「プロミス・トゥ・ユー・ガール」の“In The Backyard”というのが気になっていたから、この2つの文句を合わせてみた。そこに不真面目さを入れることで、気取った感じをなくしたんだ。そのことを僕と彼が話していて、彼が「最高だ。このアルバムに合っているよ。ChaosにCreation、それに手作り、自宅の裏庭で作ったって感じこそがこのアルバムだからね。タイトルにいいんじゃないかな」と言ってきた。それでこのタイトルになったんだ。 ――このアルバムを聴いて、リスナーは何を得るでしょう? ポール:アルバムから何を得て欲しいかなんて、考えないな。それはとても難しいことだよ。人は相手が与えてくれることのないものを欲しくなったりするものだ。だから、かなり前に僕は学んだ。自分が気に入るものを作ろう、とね。それで、みんなが自分の解釈をすればいいんだ。僕はそれで構わない。自分が気に入っていることが、一番大切なんだ。このアルバムは気に入っているよ。 |
ENAK編集部 (2005/7/14) |
ポール・マッカートニーが9月、世界に先駆けて日本で発売する予定の新作アルバム「ケイオス・アンド・クリエイション・イン・ザ・バック・ヤード」の音源が日本に届いたので13日、早速聴いた。
すでにポールの公式サイトではアルバムに関する詳細が公開されていて、収録時間は46分とあった。CD時代としてはきわめてコンパクト。厳選された内容になっているのではないかと期待を寄せていたところだった。個人的には期待通りだったといっていい。ただ、明るく親しみやすい音楽をポールに求めている人にはお勧めしない。これは題名通り混沌と創造のたまものだからだ。 演奏はほぼすべてポール本人が担当している。おそらく弦楽器などはほかの演奏家が弾いている。過去、「マッカートニー」(1970年)「マッカートニーII」(80年)という作品でポールは同様の録音をしている。また、ビートルズ解散後もっとも高い評価を得ている「バンド・オン・ザ・ラン」(73年)では、録音直前に去っていってしまったメンバーの担当楽器は自身で補ってみせた。 「マッカートニー」などはその録音形態にふさわしくきわめて私小説的な色彩が濃かったが、今回はナイジェル・ゴドリッチという監修者を迎えた。ナイジェルはレディオ・ヘッドやベックといった昨今の人気若手の作品の監修者だ。したがって今回は「マッカートニー」などとは性格が異なる作品と考えられる。 実際、ラフであることが大きな魅力だった「マッカートニー」などに対し、こちらはきっちりとしたサウンドに仕上がっている。さすがに楽器編成はきわめてシンプルだが。強引に分ければ14曲中7曲がピアノ中心、4曲は生ギター中心の伴奏。 といってもシンプルな弾き語りを想像されると、それは微妙に違う。違うと感じさせる要素は、たとえば凝った旋律の楽曲が多いことか。聴き手にちょっとした不安を起こさせる旋律なのだ。意表を突く和音進行を用いても聴感上は安定している、というこれまでの楽曲とは違うのだ。このあたりは、悪くいえばポールの音楽的な魔力が薄れたともいえる。ただ、もしかしたら明確に先鋭的であろうとしているのかもしれない。 そうした楽曲群に対して監修者のナイジェルは、記憶の中でこだましているビートルズらしい音を具現化すべく加工を加える。もっとも極端なのがテープの逆回転ふうの効果音(あるいは実際にアナログテープに録音した音を逆回転させているのか??)などだ。 その結果、ビートルズの残響はたえず響き渡るが、すっきりとビートルズっぽいといいきれないところがおもしろさだ。ジョージ・ハリスンの「クラウド・ナイン」(1987年)を監修して思い切りビートルズふうの加工を施したビートルズフリークのジェフ・リンほどの思い入れは、もしかしたらナイジェルになかったのかもしれない。ポールもまた、それをよしとはしなかった。ふたりのほどよいさめ具合がよい結果をもたらしたのではないか、とこれはすべて想像に過ぎない。 いずれにしろ、ナイジェルという監修者を迎えたということは、ポールはこの作品を「マッカートニー」のような私小説的なものにしようとは考えていなかったのだうろし、結果的に作品としての緊張感をもたせることに大きく寄与している。 前述のように明るく親しみやすい音楽を求める人には幾分つらい部分もあるだろう。これはここ数作にも共通していえるのだが、このところポールが作るスローテンポの曲は暗さが先に立つものが少なくない。ただ、前述のように、今回はひねりを効かせた楽曲が多いため、暗いとか明るいとか一筋縄でいかないおもしろさがある。 たとえば「Certin Softness」という生ギター中心で歌われる曲はラテンっぽい雰囲気の中でとてもメランコリックなサビを持つ佳曲。「マッカートニー」に「ジャンク」という秀逸なバラードが収録されているが、「Certin Softness」は21世紀の「ジャンク」といえなくもない。 「English Tea」という歌は、弦楽団を従えて歌う。ビートルズフリークがビートルズっぽさを狙った録音を聴いているような奇妙なねじれを感じさせる。 シングル予定の「Fine Line」をはじめとするアップテンポの歌はシンプルなロックに徹する。年齢とともに余分なものを徐々にそぎ落とした結果、原初的なロックンローラーとしての部分だけが残った、というのが個人的なポール観だが、今回の作品を聴いて、そのあたりの思いはますます強くなった。 したがって繰り返しになるが、明るく親しみやすい音楽をポールに求める人の中には肩すかしをくらった気分になる人もいるだろう。だが、いくつになってもロックンロールの進化を追究するポールに共感する人なら発見はたくさんあるはずだ。 よい題名をつけたものだなと思う。バック・ヤードとは裏庭のことだ思うが、これを自身の背景、軌跡ととらえれば、まさにこの作品は、これまでの財産と未来への尽きぬ意欲とをごった煮にしたうえでの創造なのだから。 「ケイオス・アンド・クリエイション・イン・ザ・バック・ヤード」は9月7日に日本先行発売の予定。同14日には録音風景の映像などを収めたDVDも加えて特別版も発売予定。いずれも東芝EMI。 |
セキュアCDについて |
今回発売される『Chaos And Creation In The Backyard』の日本盤の発売フォーマットはセキュアCDで行われる。このCDの仕様は、メーカーの東芝EMI側から以下のように発表されている。(CD Journalのニュースソースより転載) コピーコントロールCD(CCCD)での販売が続いている東芝EMIが、パソコンでの使用を考慮したという、新たな音楽CD“セキュアCD”を販売する。 ≪音楽再生ソフト:対応パソコン≫ *使用状況によっては専用プレーヤソフトが動作しない場合があり。 ≪コピーについて≫ |