1998年12月28日 ポールがブラジルのチャリティーCDに参加

 ポール・マッカートニーはブラジルのストリート・チルドレンを支援するためのチャリティCD「Little Children」にボーカルとコメントで参加した。このCD「Little Children」はピーター・カートリー・バンドのカートリーが自作自演している同名の曲が2バージョン収録され、パート2にポールの語りとボーカルが入っている。
 ポールは、「カートリーのあとに続いて、ブラジルのストリート・チルドレンのためになにかやりたいと思ったんだ。これでブラジルの権力者を動かすきっかけになってほしい」とコメントしている。

CD
は12月9日ごろからイギリスで限定発売された。印税は団体ジュビリー・アクションへ、レコード店の収益はリオの子どもたちを援助するためのSao Martinho基金へ贈られる。

1998年12月25日 ポールがインタビューで出演するTVドキュメンタリー「アビーロードの伝説」

 ポール・マッカートニーがインタビューを受けた番組「アビーロード伝説」の日本語吹き替え版が12月25日にNHK教育で放送された。この番組はイギリスETVによる、イギリスのアビーロード・スタジオの歴史を綴ったドキュメンタリーで、イギリスでは1997年1月に放送されている。ポール・マッカートニーの他に、ジョージ・マーティン、ニール・アスピノール、デレク・テイラー、アラン・パーソンズ、ジェフ・エメリックのインタビューも放送された。

1998年12月5日 最近のポールのインタビューをまとめて紹介します。

○スコットランド・オン・サンデイ紙(11月15日掲載)
 僕はスコットランドにいるときに、リンダのおかげで自信を取り戻すことができた。あのころ僕はひげを伸ばし放題にして、ミュージシャンとしての自分はもうおしまいだと思い込んでいた。でもリンダが、そんな僕にもう一度仕事に戻るようにと励ましてくれたんだ。それで、ふたたびやりなおすことができたんだ。スコットランドにいたのはとてもよかったと思う。いまいましいビジネスを離れて、地に足がついたことだけを楽しむことができたからね。
 リンダはスコットランドの農場を愛していた。荒涼とした感じと、荒けずりな自然が持つ自由を愛していた。リンダは束縛されることが大嫌いだった。戸外へ出て、広々とした空の下で過ごすのが好きで、とくに馬に乗って出かけるのが好きだった。初めてリンダをスコットランドに連れていったとき、リンダはすぐさま農場に惚れ込んでしまった。あまり手入れもしていなかったけど、リンダは「さあ、きれいにしましょう。ここなら住むことができるわ」と言ったんだ。
 リンダの詞は、燃えるような愛をおだやかでセンチメンタルなものに変えてしまう。同じように、僕たちの愛もおだやかでセンチメンタルなものだった。僕たちふたりがやってきたことはいつも、何らかの形で愛と結びついていた。それはひとえに、僕たちが愛しあっていたからだった。リンダの人生のなかでもっとも重要な日は、スコットランドの農場の羊を見てベジタリアニズムに目覚めた日だった。
 リンダはベジタリアニズムを食文化の主流にした。リンダのおかげでベジタリアニズムは広く人々に受け入れられるようになり、今では多くの人がベジタリアニズムを支持している。すべては、スコットランドでの日曜日のランチから始まったんだ。

○USA TODAY紙(11月19日掲載)
 「Wide Prairie」の中で気に入っている曲は、「Loves Full Glory」「Endless Days」だ。 アルバムに発表していないリンダの曲は1曲だけある。レコーディングまで行けなかった小品だけど、メロディは僕の頭のなかに、歌詞は僕の手元にある。すぐにデモを作らなくちゃと思っている。
 もう2度とライブをしないという噂が流れているが、実際そうなるかもしれない。でも今年それを決めるのはとても難しい。今決めなければならないというプレッシャーはない。だれかが大きなムチを持って僕の前に立ちはだかっているというわけではない。僕は自分の気持ちがどうなるかを見きわめようとしているだけだ。自分の音楽は今も変わらずたいせつに思っている。今はリンダの夢をかなえているところなんだ。
 曲はずっと書いている。ちょっと悲しい曲もあるけど、すべて悲しい曲だというわけではない。おおまかなプランも練っている。いつかきっと音楽のために忙しく駆けまわる日が来ると思うよ。

1998年12月4日 ポールの伝記本「Many Years From Now」日本語版、12月16日発売へ

バリー・マイルズによるポール・マッカートニーの伝記本が、ロッキン・オン社から12月16日に発売される。この本は、バリーが1991年から1996年にかけて35回行ったポールへのインタビューが元になっており、ビートルズ解散の1970年までのポールの生涯について、ポール自身が語っているという。

1998年11月29日 12月17日にMPLのウェブ・ページでポール生出演

ポール・マッカートニーが、12月17日、MPLのホームページ上に出演し、「Wide Prairie Show」と題して、リンダの最新アルバム「Wide Prairie」のことについて話したり、ファンからの質問に答えたりする。URLは以下の通り。

http://www.mplcommunications.com/mccartney/

1998年11月15日 ポールの「Rock'n'roll Hall Of Fame」の入賞決定

ポール・マッカートニーが来年度のロックの殿堂(ロックンロール・ホール・オブ・フェイム)に入ることが決定した。
殿堂を運営するロックンロール・ファウンデーションが発表したもので、ポールのほかには、ブルース・スプリングスティーン、ビリー・ジョエル、デル・シャノン、カーティス・メイフィールド、ダスティ・スプリングフィールド、ステイプルズ・シンガーズが選ばれている。

なお、ビートルズ関係では、1988年にビートルズが、1994年にジョン・レノンがロックの殿堂に入っている。
殿堂入りを祝うセレモニーは1999年3月15日にニューヨークのウォルドフ・アストリア・ホテルで行なわれる予定である。

1998年11月9日 リンダ・マッカートニーのシングル「Wide Prairie」英国で11月9日に発売

リンダ・マッカートニーのアルバム「Wide Prairie」からのシングル「Wide Prairie」が11月9日に英国で発売された。
カップリング曲は「Cow」「Loves Full Glory」。表ジャケットはジム・モリソンが撮影したリンダ、裏ジャケットはポールが撮影したリンダの写真、紙ジャケットの中にさらにCDケースが入っている。
アナログ盤(ピクチャー・レコード)のB面は「Cow」で、紙製のホルダーに挟まれている。

1998年10月30日 リンダのアルバム「Wide Prairie」、10月26日に英国で発売

リンダのアルバム「Wide Prairie」が10月26日に英国で発売された。このアルバムの宣伝のために、ポールは英国や米国のマスコミのインタビューに進んで応じ始めた。27日には、米のKCBSの「アクセス・ハリウッド」で初のTVインタビューが放送され、2人の29年間の愛の結婚生活のビデオが初めて公開された。彼女の歌をバックにし、2人が海辺で仲良く抱き合っているシーンや、子供と一緒に遊んでいる昔の家庭の光景などが含まれている。
 このインタビューでは、乳がんについても語り、「乳がんは早期発見した方がいい。このTVを見ている女性にマンモグラフィー(乳房を写し出す特殊なX線撮影法)を受けることを勧める。発見が早ければ、助かるかもしれない。不幸にもリンダの場合は発見が遅かったんだ」
と語った。
 また、ポールはリンダの最後の日々を彼女のお気に入りの場所である米国のアリゾナ州の牧場で過ごしたと話し、「リンダの死の2日前に最後の乗馬にでかけた。彼女は疲れていたけど、乗馬はいつも2人でやるもののひとつだった」。
 「翌日、リンダは―日中ベッドに横になっていた。その夜、リンダと一緒にベッドに入った。事態は深刻だったが、だいじょうぶだと思い続けた。しかし、真夜中にリンダが落ち着かなくなり(死期の前にこのようになることは医者から告げられてた)、早朝3時に看護婦を呼んだ。そして4人の子供を牧場に呼んだ。(リンダの)最後は穏やかだった」。
 彼女の死後3晩は―睡もしなかったというポールだが、「リンダの精神が、私が1人でやっていけるように助けている」と信じ、「今は魔法にかけられたように眠ることができる」と。新アルバムは愛する妻へ捧げる最後の贈り物だという。

 またポールは先週、英のデイリーメール紙に「リンダが死ぬ1週間前にもうだめだと知ったが、リンダには言わなかった。知っていたのは私だけだった」などと明らかにした。医師の1人から「リンダには告げるべきだ」と言われたが、「私は告げなかった。リンダが知りたいだろうとは思わなかった」と答えている。この記事は1017日から3日間連載された。

 また、『サン』『デイリー・メイル』紙では、以下のようなインタビューが掲載された。
 「残念なことに、リンダはもう手遅れだった。2年半かけて治療を受けたけど、もうどうすることもできないということがわかった。だから、すべての女性に言いたい。自分には関係ないと思っていても必ず検診を受けることを考えてほしい」
また、リンダの死の1週間ほど前に、あと数日の命であることを知らされていたが、ポールはそれをリンダには言わなかった。
「知っているのは僕だけだった。医師のひとりは、リンダに知らせるべきだと言ったが、僕は知らせないほうを選んだ。リンダが望んでいないと思ったから」
「悲しみをすっかり洗い流す最良の方法は、涙を流すことだ。僕は、涙はこらえるものと言われて育った世代だから、リバプールで母を亡くしたときも必死でこらえた。でも今はそんなことはしない」とも語ったポールは、リンダの死による深い悲しみから立ちなおるためにカウンセラーの力を借りたことも告白した。「愛する人を亡くしたら、だれでもその人に対していつも完璧でいるべきだったと思うはず。僕も完璧であることはできなかった。だからリンダが亡くなったあと、大きな罪の意識を感じた」

 なお、このアルバムは、12月23日に東芝EMI(TOCP 65065、税抜き2,427円)から発売予定である。

1998年10月29日 ポールが警察のシカ密猟者捜査を支援

ポールが、イングランド西部のエーボン、サマーセット両州を管轄する警察の要請を受け入れ、シカ密猟者の追跡に使う夜間暗視装置を購入する代金5000ポンド(約100万円)を英警察に寄付した。

1998年10月18日 News 最近のニュースをまとめて掲載します。

White Album 30周年記念盤発売へ
 The Beatlesの1968年発売のアルバム「The Beatles」(「White Album」の通称で有名)の30周年記念盤がアメリカのCapital Recordより発売される。発売当初についていたポスターなども付く予定。

ポール・マッカートニー・ファンクラブ「Club Sandwitch」解散、会報誌休刊
 ポールの音楽出版会社MPLが運営するファンクラブ「Club Sandwitch」が解散することになり、また、会報誌「Club Sandwitch」も休刊することになった。理由は、リンダの死後、クラブの運営が困難になったということ。

以下は、ファン・クラブの代表スー・カバナーから会員に送られた10月2日付の手紙。

ファン・クラブ・メンバーのみなさんへ

すでにお気づきの方も多いと思いますが、リンダに捧げる特別号である『クラブ・サンドイッチ』の86号には、いつものように「通信販売のお知らせ」や「継続申込書」を同封していませんでした。理由のひとつは、この記念号になにかを同封するのはふさわしくないということ。そしてもうひとつの理由は、この号が最後になるとポール自身が決断したことでした。

ポールとリンダが力をあわせて『クラブ・サンドイッチ』を創刊したのは、今から21年前のことでした。これはふたりの共同プロジェクトで、ポールはエグゼクティブ・エディターを、リンダはフォト・エディターをつとめてきました。ポールは今、リンダなしでこのプロジェクトを続けていくことはできないと感じています。そこで私たちは、『クラブ・サンドイッチ』の刊行に終止符を打つことにしました。また同時に、ポール・マッカートニー・ファン・クラブの活動も幕を閉じることになりました。

これまで長年にわたって『クラブ・サンドイッチ』やファン・クラブを愛し、応援してくださったみなさんに、私たちスタッフ一同から感謝の気持ちを申しあげたいと思います。すでに購読料をいただいている方への払い戻しなど、精算に関することについては別途お知らせいたします。また、クラブ・グッズの最終セールも予定しています。
All the best,

Sue

アルバム「Wide Prairie」の詳細、シングル発売
 アルバム「Wide Prairie」の詳細が明らかになった。曲目は以下の通り。

1.Wide Prairie (L.McCartney)
2.New Orleans (L.McCartney)
3.The White Coated Man (L.& P.McCartney /C.Lane)
4.Loves Full Glory (L.McCartney)
5.I Got Up (L.& P.McCartney)
6.The Light Comes From Within (L.& P.McCartney)
7.Mister Sandman (Ballard)
8.Seaside Woman (L.McCartney)
9.Oriental Nightfish (L.McCartney)
10.Endless Days (L.McCartney/M.Bolton)
11.Poison Ivy (Leiber/Stoller)
12.Cow (L.& P.McCartney/C.Lane)
13.B'Side To Seaside (L.& P.McCartney)
14.Sugartime (Phillips/Echols)
15.Cook Of The House (L.& P.McCartney)
16.Appaloosa (L.& P.McCartney)

このうち、3,8,9,13,15は公式発売されており、1,2,10,12,14はラジオ番組「Oobu Joobu」で放送されたことがある。
4,5,16については、ホームビデオのサウンドトラックに収録されている。

このアルバムは10月26日に全世界で発売される予定である。(ただしアメリカは27日)

また、11月9日にヨーロッパでWide Prairieのシングルが発売される。カップリング曲は「Cow」「 Loves Full Glory」。

Band On The Run 25周年記念盤発売へ
 1973年に発売されたアルバム「Band On The Run」の25周年記念CD BOXセットが1999年1月26日に発売される予定がある。また、この記念盤の発売に伴って、ポール自身のDJによるラジオ番組も企画されている。

1998年9月23日 ポールがRock'n'Roll Hall Of Fameにノミネート

ポール・マッカートニーがソロ・アーティストとしてRock'n'Roll Hall Of Fameにノミネートされた。なお、1994年にはソロ・アーティストとしてジョン・レノンが、1988年にはビートルズがこの賞を受賞している。

1998年9月23日 MPLの広報担当者、コンサートの噂を否定

MPLの広報担当者ジェフ・ベイカーがコンサートの噂を否定した。いまは、ポールはリンダの追悼アルバムを発売するのに力を入れたいということである。

1998年9月18日 ポールがAnimal Rights Benefit Concertを計画中

ポールが、リンダの死後初めてのコンサートを、動物愛護慈善コンサートとして計画している。The Pretenders(ポールの1989年から1993年までのツアーバンドのギタリスト、ロビー・マッキントッシュが在籍していた)の Chrissie Hynde と計画しているもので、Elvis Costello, the B-52s, the Artist, Lenny Kravitz, Blur and Natalie Imbruglia などに声をかけているという。コンサートの日と場所は未定。

1998年9月15日 リンダ・マッカートニーのトリビュート・アルバム「Wide Prairie」、11月発売へ

リンダ・マッカートニーのトリビュート・アルバムが11月3日に発売される予定である。このアルバムは、リンダがボーカルをとっている曲(3曲がカバーで、13曲がオリジナルの計16曲)をフィーチャーしたもので、ポール自身や息子のジェームズも参加しているという。アルバム・タイトル曲「Wide Prairie」は、8月19日にエジンバラ国際映画祭で上映されたリンダが取り組んだアニメ映画「Wide Prairie」の主題曲であり、ポールDJのラジオ番組「Oobu Joobu」で放送された事がある。

1998年9月15日 Firemanのアルバム「The Rushes」、9月21日に英国で発売

ポールとYOUTHのコンピレーション「Fireman」の新作アルバムが9月21日に発売される。「Fireman」は、1993年に英国でデビュー・アルバム「Strawberries, Ships, Oceans, Forest」を発売した。発売した当初は、ポールによるアルバムであるとは公表されなかったが、発売後、「Fireman」はポールではないのかとの噂が流れ、ポール自身が「Fireman」は自分自身によるプロジェクトであると公にした。今回のアルバム「The Rushes」に収録予定の曲は次のとおり。

Watercolour Guitars ; Palo Verde ; Auraveda ; Fluid ; Appletree Cinnabar Amber ; Bison ; 7 am ; Watercolour Rush ; Fluid ; Appletree Cinnabar Amber ; Bison (Extended Version)

なお、このアルバムの日本版は、11月18日に東芝EMIから発売される予定である。(TOCP 65018、税込2,548円
アメリカ盤は11月20日発売予定。