Maybe I'm Amazed #1 (1970年)

 リンダが撮影したスナップショット数十枚をスライド風に写していく映像である。演奏シーンはない。リンダが撮影したものは、1969年から1970年にかけてのもので、ビートルズのGET BACKセッションの時の写真や、ポールがスコットランドで家族と過ごす写真など、アット・ホームなものである。1993年にWOWOWの特別番組「ビートルズ17時間スペシャル」で全編放送された。また、公式ビデオ「ポール・イズ・ライブ」に収録されている1993年ワールド・ツアーのオープニング・フィルムでこのプロモの一部を見ることができる。

3 Legs (1971年)
 ポールとリンダがスコットランドの農場で乗馬をする映像や、野原の中を駆け回っている映像のバックにこの曲が流れる。演奏シーンはなし。「Maybe I'm Amazed」と同じようにこのプロモ・フィルムも、公式ビデオ「ポール・イズ・ライブ」に収録されている1993年ワールド・ツアーのオープニング・フィルムで一部を見ることができる。

Heart Of The Country (1971年)
 この曲も「3 Legs」と同じように、ポールとリンダがスコットランドの農場で過ごす映像が使われている。演奏シーンはなし。

Mary Had A Little Lamb #1 (1972年)

 この曲のプロモ・フィルムは3種類あることが確認されており、いずれも同じ日に撮影されたもので、ニコラス・ファーガソン(テレビ番組「Ready Steady Go!」の制作に携わっていた人物)が監督している。ヴァージョン1は、納屋で演奏するものである。ポールの弾くピアノの上に鶏がいたり、わらを敷きつめた床の上には数匹の羊がいる。この映像では、デニー・レインがアコースティック・ギターを、ヘンリー・マッカロウがマンドリンを弾いており、リンダはボンゴを叩いている。また、ポールのボーカルは生録りされている。このヴァージョン1はもっともよく放送された映像で、1972年6月28日の「Top of the Pops」で放送された。

Mary Had A Little Lamb #2 (1972年)
 ヴァージョン2はサイケデリック・バージョンともいわれ、ウィングスのメンバー全員がお揃いのサロペット姿で演奏しているものである。メンバーの着ている服の黒い部分だけが映像処理で別の映像に切り替わったりする。このヴァージョンも、ポールのボーカルは生録りされている。

Mary Had A Little Lamb #3 (1972年)
 ヴァージョン3は、緑の丘を描いた絵をバックにして演奏するというものであり、ポールが弾いているピアノの上にはウサギがいたり、リンダは黄色いチェックのジャケットを着て、低く積み上げられた石の上に座ってボンゴを叩いている。時折、少女と羊が登場するアニメーションが挿入される。

Hi Hi Hi (1972年)

   階段状に積み上げられたステージ上でウィングスが演奏するプロモで、「C Moon」とのメドレーで登場する。ポールは、リッケンバッカーのベースをフィーンガー・ピッキングしながら歌っている。リンダは、ここではタンバリンを叩いている。
 撮影は1972年11月25日に、スティーブ・ターナーの監督のもと、サザンプトンにあるSouthern Independent Television Centreで行われた。撮影は3台のカメラを使って行われ、その日のうちに編集とミキシングまで完成した。イギリスでは放送禁止扱いになったため、B面の「C Moon」のみテレビで放送されたが、他の国ではこのプロモも放送された。
 監督のターナーはある日突然ポールのプロモ・クリップを撮らないかという電話を受け、トライデント・スタジオでレコーディング中のウィングスを訪ねた。ポールとはその時が初対面であったが、その場で正式にこのプロモの監督を依頼されたという。
 ターナーは、「ポールはとてもアイデアが豊富で、撮影中も次々といろいろなアイデアを出してきた。ポールの言うことはいつも的を得ていたので、とてもやりやすかった。スタジオが改装中でコントロール・ルームが使えなかったのは不便だったが、できあがった映像にはみんな満足した」と回想している。

C Moon (1972年)

 「Hi Hi Hi」とのメドレーでこの曲が登場する。ゆえに、この曲のステージは「Hi Hi Hi」と全く同じ。この曲ではメンバーの担当する楽器がいつもとは異なり、ポールがピアノ、デニー・レインがベース、ギターのヘンリー・マッカロウがドラム、ドラムのデニー・シーウェルがトランペットを担当している。リンダはここでもコーラスとタンバリンを叩いている。

My Love (1973年)

 スタジオ・ライブ。ポールのボーカルだけ生録りされている。霧の中からウィングスのメンバーが現れて、演奏を始めるという幻想的なフィルムでもある。間奏のギター・ソロのところでは、ポールとリンダがダンスを披露するが、この映像の一部が公式ビデオ「ポール・イズ・ライブ」に収録されている1993年ワールド・ツアーのオープニング・フィルムでほんの0コンマ数秒見ることができる。

Helen Wheels (1973年)

 第2期ウィングス(ポール・マッカートニー、リンダ・マッカートニー、デニー・レイン)の時の映像で、このプロモにもこの3人しか登場しない。ポールの愛車「Helen」に乗ってロンドンからリバプールに戻るときの様子を書いた歌詞と同じく、ポールが愛車を運転しているときの映像と、ポールがギター、ベース、ドラムを演奏する映像がラップされる。このプロモは公式ビデオ「Portrait / Paul McCartney Special」で見ることができる。(ただし完奏はしていない)

Jet (1973年)

 歌詞を書いたスライド風の映像と、アルバム「Band On The Run」に用いられているウィングスの写真が使われている。演奏シーンはなし。

Band On The Run (1973年)

 この曲のプロモの存在は確認されているが、詳細は不明。1980年代にテレビでオンエアされたプロモは、サーファーの姿を追ったドキュメンタリー・ビデオ「Band On The Run」の1シーンからのものであり、ポール(MPL)制作のものとは異なる。

Band On The Run (Album) (1973年)
 アルバム「Band On The Run」のMPL制作のプロモ・フィルム(約9分)。アルバムのジャケット撮影風景を中心として、1973年頃のウィングスの映像のバックに、アルバム「Band On The Run」収録の曲「Band On The Run」「Jet」 「Mrs. Vandebilt」 「1985」等が流れる。この映像でおもしろいのは、アルバム・ジャケット撮影風景の中で、カメラマンの助手が日本航空のハッピを着ていることである。

Junior's Farm (1974年)

 スタジオ・ライブで、すべての演奏が生録りされている。このスタジオ・ライブは、未発表映像「One Hand Clapping」収録のためのセッション中に行われたもので、1974年秋にロンドンのアビーロード・スタジオにおいて行われたものである。(アメリカのナッシュビルという説もあり)おそらく、レコードになっている演奏も、このセッションで録音されたものではないだろうか。

Venus And Mars (Album) (1975年)

   アルバム「Venus And Mars」のプロモ。テレビCM用に作られたもので、約30秒の長さである。ウィングスのメンバーがビリヤードをしている映像のバックに、アルバム「Venus And Mars」からの曲が数曲流れる。

Venus And Mars/Rock Show (1975年)

   1975年9月21日のイギリス・グラスゴーでのライブ映像から。この曲のシングル・レコードと同じく、曲の一部を編集している。本当のライブではこの曲の次に「Jet」がメドレーでつながるが、このプロモでは「Rock Show」はフェイドアウトして終わる。

Letting Go (1975年)

 「Venus And Mars/Rock Show」と同じく、1975年9月21日のイギリス・グラスゴーでのライブ映像より。プロモの最初はウィングスのメンバーがツアーのバスに乗る映像から始まり、途中にもツアー移動中のバスの中にいるメンバーの様子が挿入される。

Listen To What The Man Said (1976年)
 映画「Rock Show」の映像をそのまま使っている。この映画「Rock Show」は公式ビデオとしても発売されている。

Maybe I'm Amazed #2 (1976年)

 「Listen To What The Man Said」と同じく、映画「Rock Show」の映像をそのまま使っている。

Maybe I'm Amazed #3 (1976年)
 
1975年から76年にかけて行われたワールド・ツアーやその他の様々な写真のコラージュで構成されている。音声はアルバム「Wings Over America」に収録されている公式テイクと全く同じ。

Silly Love Songs (1976年)

 1975年から76年にかけて行われたワールド・ツアーの映像を織り交ぜている。76年のアメリカ・ツアーの時の「Silly Love Songs」をベースに、リハーサル、会場のセッティング、移動の飛行機に乗るシーン、飛行機の中のメンバーの様子など、様々な映像からなるドキュメンタリー風のプロモ。1990年代前半には日本のテレビでもよく放送された。

Mull Of Kintyre #1 (1977年)

   この曲の舞台ともなっているスコットランドのキンタイア半島で撮影されたフィルム。ポールが所有している農場でギター1本でこの曲を弾き語りしているシーンに始まり、キンタイア半島をバグパイプ隊が行進するシーンへとなり、最後には1つのファイアーを囲んで、スコットランドの人々がこの曲を歌い合うシーンで終わるという、感動的なプロモである。

Mull Of Kintyre #2 (1977年)

 ヴァージョン1とは異なり、スタジオで撮影されたフィルム。ポール、デニー・レインがアコースティック・ギターを弾き、リンダがコーラスで参加している。曲の途中で、バグパイプ隊が登場する。

London Town (1978年)

 スタジオ内に設置された道の上を、ポール、リンダ、デニー・レインの3人が曲にあわせて歩いていくという構成のビデオ。曲の歌詞に会わせて、フルートを吹く人が現れたり、銀色の紙吹雪が降ったりする。曲の最後の方で披露されるポールとデニーのスライド・ギター・バトルが見物である。このプロモにはビデオ・バージョンとフィルム・バージョンの2種類があり、日本でも両方放送されたことがある。

With A Little Luck (1978年)

 シンプルなスタジオ・ライブで構成されるプロモ。ポールがリッケンのベースを弾き、デニー・レインとリンダはキーボードを弾いている。なお、この後にウィングスの正式メンバーとして加入するスティーブ・ホリーがドラマー役として出演しているが、スティーブはこのプロモの撮影に参加した後、ポールに誘われてそのままウィングスに加入したという経緯がある。
 音声は、ビデオ・バージョンのほうはアメリカ盤CD「All The Best!」に収録されているショートバージョンであるが、フィルム・バージョンの方はアルバム「London Town」に収録されているロング・バージョンをそのままフェイド・アウトしたものである。両方のバージョンとも日本で放送されたことがある。

I've Had Enough #1 (1978年)

 アルバム「London Town」からの3番目のシングルであるこの曲のプロモも、スタジオ・ライブである。(音声はもちろんアルバム収録のものと同じ) 第5期ウィングスのスティーブ・ホリーとローレンス・ジューバーがこのプロモに参加している。(このプロモの撮影時点でウィングスの参加が決定していたのであろうか) バージョン1のほうは、イントロに4分割の映像が回転するという斬新なワークを駆使している。
 
1980年代初期に日本で放送されたことがある。

I've Had Enough #2 (1978年)
 この曲のバージョン2のプロモは、バージョン1とほとんど同じであるが、イントロが4分割の映像が使われずに、普通にメンバーが演奏している姿を撮影したものを使っているだけである。今のところ、このプロモはブートビデオでしか確認できない。

Goodnight Tonight #1 (1979年)

 ウィングスのメンバーがオールド・スタイルのスーツで決めて演奏するという見応えのあるビデオである。オールドスタイルのウィングスと、ダンス・ホールを模したスタジオでパーカッションを持って踊るメンバーの姿の2種類の映像からなる。曲の最後ではステージが回転して、「Goodnight」という文字が浮かび上がるという、70年代後期のディスコブームを思わせる演出がされている。
 このプロモは公式ビデオ「Portrait / Paul McCartney Special」で一部見ることができる。また、このプロモにはビデオ・バージョンとフィルム・バージョンの2種類があり、ビデオバージョンのほうは日本でも放送されたことがある。

Goodnight Tonight #2 (1979年)

   この曲のバージョン2のプロモは、イギリスで1981年に放送されたテレビスペシャル「Back To The Egg」(実際は同盟アルバムからのプロモ集であるが)からのもので、バージョン1と異なる点は、曲の途中でウィングスのメンバーがオールド・スタイルから普通のスタイルに変わるところである。

Getting Closer (1979年)

 シンプルなスタジオライブに、ウィングスのメンバーがトラックに乗って運転している映像が重なるというプロモである。スタジオ・ライブでは、ポールはこの時期にしては珍しくリッケン・バッカーノベースを弾いている。なお、「Back To The Egg」の曲のプロモではほとんどYamahaのベースを弾いている。当時のウィングスの勢いがよく表れているビデオである。
 この曲のプロモにはフィルム・バージョンとビデオ・バージョンがあり、ビデオ・バージョンはテレビスペシャル「Back To The Egg」で用いられている。
 ちなみに、テレビスペシャル「Back To The Egg」では、次のプロモが含まれている。
 
@Getting Closer ABaby's Request BOld Siam, Sir CWinter Rose/Love Awake DSpin It On EAgain And Again And Again FArrow Through Me GGoodnight Tonight #2
 撮影は「Goodnight Tonight #2」を除いて1979年の秋頃に、Lympne城などで3日間かけて行われた。ポールはこの番組撮影のために、髪をショートカットにした。

Baby's Request (1979年)

 テレビスペシャル「Back To The Egg」で放送されたプロモ。イギリス軍隊の慰問団に扮したウィングスが演奏しており、このプロモでは、リンダがウッド・ベース、デニーレインがピアノ、ポールがボーカルに徹している。曲全編を通して一つのカメラアングルから撮影している。

Old Siam, Sir (1979年)

 これもシンプルなスタジオライブで構成されている。ハード・ロック調のツインギターを聴かせるデニー・レインとローレンス・ジューバー、Tシャツ姿でシャウトするポールがかっこいい。

Winter Rose/Love Awake (1979年)

 雪山姿に覆われたイギリスのLympne城が雪解けになって緑に覆われた城になる映像から始まり、雪路を乗馬するポールとリンダ、城の中で演奏するウィングスのメンバーへと切り替わる、幻想的なプロモである。演奏シーンでは、ポールが爪引きでアコースティック・ギターを演奏するシーンが堪能できる。

Spin It On (1979年)

 飛行機のプロペラが回っている映像から始まり、ウィングスの演奏シーンへと切り替わる。演奏シーンでは、曲に合わせてメンバーがクルクルと回る。ポールがエピフォン・カジノのギターを弾いているのに注目!

Arrow Through Me (1979年)

 ウィングスのスタジオライブに、映像効果をかぶせて、不思議な感じの映像に仕上がっているプロモである。ポール、リンダ、デニー・レイン、ローレンス・ジューバーがキーボードを弾き、スティーブ・ホリーがドラムを叩いている。曲のブラス・セクションの箇所ではブラスを演奏する人が登場する代わりに、ポールが弾いている鍵盤がクローズ・アップされている。日本でも何回か放送されたことのあるプロモ。

Wonderful Christmastime (1979年)

 ウィングスがクリスマス・パーティーでこの曲を披露する姿や、1979年のツアーでこの曲を演奏する姿等を編集した、楽しい雰囲気のプロモに仕上がっている。また、画面の合成や映像効果もふんだんに使われている。この曲のプロモは日本でも放送され