来日中のアーティストのオノ・ヨーコさんが7日、高層ビルへの改築計画が持ち上がっている東京・九段下のフィリピン大使公邸を訪れた。公邸はもとは安田財閥の創始者の孫・安田岩次郎邸で、安田氏のめいにあたるオノさんは幼少期に3年間住んでいた。オノさんは「思い出の場所であり、東京での心のよりどころでもある。(取り壊しを)決めるのはフィリピンの国民だが、美しいまま保存してくれたらうれしい」と語った。
「この部屋はおじのアトリエで、いつもミュージシャンが音楽を奏でていたのよ」。4年ぶりに大使公邸を訪れたオノさんは懐かしそうに語った。夫の故ジョン・レノンさんと息子のショーンさんとも1977年に訪れたことがあり、レノンさんは「息子のルーツでもある日本の家を見せてあげたかった」と喜んだという。
約4500平方メートルの土地に立つ大使公邸は安田氏の発注で1935年に建てられ、44年に当時のフィリピン大統領が購入した。公邸は建て替え後の高層ビルに入る計画。同国政府は先月、公開入札で土地の落札者を決める予定だったが、フィリピン報道によると、反対運動もあって売却は延期された。
Source: asahi.com