カトリック教会の総本山であるバチカンは、ローマ法王庁の日刊紙『オッセルバトーレ・ロマーノ(L'Osservatore Romano)』に、ビートルズがおかした麻薬使用や神への冒涜といった罪を 『赦す』とした上で、ビートルズを「貴重な宝石」と賞賛したことが報じられた。
ビートルズの解散から40年を迎えたのをうけ、同紙は第一面で、「ビートルズのメンバーは麻薬に手を出し、自分たちはキリストより偉大だと言い、邪悪ともいえる不可解なメッセージを生み出しもした。決して、若者の最高のお手本ではなかった」としながらも、「しかし、彼らの美しいメロディは音楽に大きな影響を与え、今も人々を楽しませている。13枚のアルバムがポップ・ミュージックの歴史を変えたのは事実で、世界で最も知られ、高く評価されたバンド」と、述べている。
一方、アイルランドの児童施設を舞台にした性的虐待スキャンダル(※)に関し、バチカンの対応のまずさに対する激しい批判がおさまらない中でのビートルズ称賛には、「聖職者による虐待問題より先にビートルズが出てくるのはおかしい」と、眉をひそめるむきもある。
バチカンは2年前にも、「ビートルズはイエス・キリストよりも偉大だ」とジョン・レノンさんが1966年に発言したことについて、「英国の労働者階級出身の若者が予想外の成功を手にして自慢話をしただけ」と、発言を事実上容赦する記事を同紙に掲載していた。
(※)アイルランド政府の調査委員会が昨年11月に出した報告書をきっかけに、アイルランドのカトリック教会が運営する児童施設で数十年にわたり神父らが児童を性的に虐待していた問題が発覚。組織的な隠蔽が疑われることや、ドイツやスペインなど欧州各地でも同様の問題が相次いで表面化しており、ローマ法王の対応が不十分だとし、退任を求める抗議の声も上がっている。
Source: JAPAN JOURNALS LTD